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レオン・フレデリック  聖三位一体

 寒い日が続いてます。霜柱を踏みつけるときの「サクッ」とした感覚が好きで、出勤中霜柱を見るとつい踏んでしまいます。
 
 さて、先週紹介したフェルナン・クロップスの「茶色の瞳と一輪の青い花」はおかげさまで好評でした。そこで、今日紹介する作品は同じくベルギー象徴派の画家レオン・フレデリックの「聖三位一体」です。

聖三位一体

 レオン・フレデリックは当初は社会派リアリズムな作品を描いていましたが、後に神秘的な宗教画を多く描いています。この作品はその一つです。

 左は「父」、多くの人々が畏れているように「父」を崇めているのが分かります。神を信じる者には光を、神を信じない者には闇をという感じに見えます。
 中央は「子」両脇の天使がもつ一見おどろおどろしい布は「聖顔布」。最高の聖性を具えた肖像とされてるそうです。咲き乱れる白百合が美しいです。
 右が「聖霊」通常は白い鳩で表わすそうですが、この作品では天使です。なんか意味があるのでしょうが、異教徒の私には分かりません。

 左のすがるような人々厳しそうな父、中央と右の絵には仏像における邪鬼のように踏まれた蛇、そして最高の聖性を具えた肖像から「神は偉大なり、神にすがるべし」という教えがストレートに伝わり、優れた宗教画は異教徒にも教えが伝わるのだということが分かる作品です。

 レオン・フレデリックの宗教画の最高傑作「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」は大原美術館が所蔵しています。また、姫路市立美術館も傑作を数点所蔵しているので、いつかは行きたいと思ってます。
 次回はモローです。象徴派といえばこの方抜きには語れません。ではまた!!

このブログでは「春の寓意」という作品も紹介しています(こちら

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本所深川稲荷巡り 繁栄稲荷神社

 昨日は、朝一番に耳鼻科(これは処方箋を受けるだけだからすぐ終わった)急遽江東区に行く用事、夕方は歯医者、そして外科(この外科は土曜の19:00まで診察している奇特な医院)と多忙でしたが、忙中閑有とはよくいうもので、素晴らしい神社に出会ったので紹介します。

 江東区の東西線木場駅の裏手に「繁栄稲荷神社」という神社があります。


境内1

 お稲荷様はそもそも商売繁盛に御利益がありますが、名前がストレートです。
 このお稲荷様は江戸時代に現在の大丸デパートが江戸に進出した際、伏見稲荷を分祀したもので、裏手には大丸の社屋があります。

20120129171015e3d (2)


 境内はサザンカの生け垣に囲まれています。程良く苔むした境内は箱庭のようです。桜も植えられているので花、新緑、紅葉と四季折々の美しさが楽しめそうです。

境内3

 石灯篭の基礎(?)に注目してください。石灯篭の基礎は感じの八の字のような形をしてるか、まっすぐですが、踏ん張ってるような形をした石灯篭は初めて見ました。

境内4


 この神社は龍の彫刻も見事で、江戸時代に彫られたそうです、
 都内、特に関東大震災と東京大空襲の被害が甚大だった江東区で江戸時代の木造建築は珍しいです。

 小さい神社なので御朱印はありませんが、なかなか珠玉な神社でした。

フェルナン・クノップフ  茶色の瞳と一輪の青い花

 おとといの雪がまだ残ってます。私は「雨男」ならぬ「雪男」でスキーに誘われたら、雪でスキー場に行けないことが何回かあって、学生時代に雪国にいた割にはスキーをあまりしたことがないです。

 さて、今週と来週のテーマは「象徴派」。今回紹介するのはフェルナン・クノップフの「茶色の瞳と一輪の青い花」です。

茶色の瞳と一輪の青い花

 フェルナン・クノップフはギュスターヴ・モロー、エドワード・バーン=ジョーンズ、グスタフ・クリムトと錚々たる画家たちと親交があり、お互い影響しあったそうです。19世紀の西洋絵画史を見ると名だたる巨匠たちが互いに親交を結んでいて壮観です。

 フェルナン・クノップフの作品は静謐感に満ちています。静謐感に満ちた絵と言えばフェルメールですが、フェルメールは心の動きや息遣いが伝わってきますが、フェルナン・クノップフの場合は動きが止まってる、時間が止まってるようです。また、虚無的で儚げで作品によっては切なくなります。いわば良質なバラードのような作品が多く、私はそういうところが気に入ってます。

 フェルナン・クノップフの描く女性はこの作品のような凛々しく中世的な女性が多いです。おそらく忘れらない人で、画家の心の中では時間が止まっているのでしょう。西欧ではスミレは再生の象徴でもあるそうです。この青い花がスミレだとしたら、時間が止まってはだめだ再び歩きだせという心の内を描いた作品かもしれません。

次の作品も紹介しています。是非ご覧ください!!
「白、黒、黄金」
「ヴァン・デル・ヘクト嬢の肖像」
「天井画-絵画、音楽、詩歌」

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ブロンズィーノ  愛の勝利の寓意(愛のアレゴリー)

 乾燥した日が続き、ドライアイで目がしばしばする人が増えてるそうです。ここ最近職場が不機嫌ではないけどどんよりしているのはそのせいかもしれないです。

 さて、シリーズの最終は、官能オブ官能のブロンズィーノ「愛の勝利の寓意(愛のアレゴリー)」を紹介します。
 愛の勝利の寓意(愛のアレゴリー

 キスをするヴィーナスとキューピッドが見せる表情と、エロティックな肌がとても官能的で、見てないけないものを見てしまったような気になります。
 先週紹介したティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」、アングルの「トルコ風呂」も絵画史に残る官能的な名画ですが、この作品は両作品を凌駕しています。

 会田誠氏が美術の窓という雑誌に一つの解釈しかできない作品はファインアートとしていかがなものかとい内容のことを語っていましたが、「快楽」の寓意とされる薔薇を持った男児、「欺瞞」の寓意とされる少女(実は蛇女。ちょっと怖い。。。)「嫉妬」の寓意とされる老女といろいろな寓意をこめているので、解釈をめぐっていろいろ論争がされている作品でもあります。
 
 この作品は中学生の頃、美術室にある画集で初めて見ました。気になる御年頃だったので友達とガン見したら、美術の先生に当然ひどく怒られました。
 以前「まりこという女性に弱いかも」という内容を書いたことがありましたが、、その先生も「まりこ」でした。

 今週末は雨ですが、よい週末を!!ちなみに私はフェルメール展とルドン展に行く予定です。 

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