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フェルメール 窓辺で手紙を読む女(修復前と修復後)

 2月22日に都立美術館で開催中の「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」に行き、修復された
フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」を見ました。2012年に修復前のものを記事しているので、印象の違いについて感じたことを書きます。

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 2005年に国立西洋美術館で開催された展覧会で修復前の作品を見ています。
 オランダは海洋国家でした。フェルメールの時代の航海は命がけだったので、難破・遭難したという手紙を残された女性が受け取るのは日常的だったと思われます。そう思ってみるとこの作品は当時の女性達の悲しみを描いた作品かもしれません。
 優れた悲劇はカタルシス効果があり、不都合な気持ちをとき放つそうです。この作品はそんな女性達の悲しみを癒すため、また難破した船員の鎮魂として描いたと解釈しました。

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 こちらは修復後です。
 キューピッドは悪意に打ち勝つのは誠実な愛を表しているそうです。だからこの手紙は多くの困難に打ち勝って恋が成就した瞬間と解釈しました。また、修復前は悲しみと鎮魂と解釈したのですが、今回は手紙の送り主が無事航海を終えて帰国次第結婚しようと書いたのかな、、と個人的にストーリが思い浮かびました。
 開けた窓から風が吹き込みカーテンが揺れたように見えたのですが、よく見ればカーテンは窓に引っかかっています。フェルメールは光の動きを風のように感じ描いたということでしょうか?
 
※ フェルメールの展覧会には必ず出展されるといっても過言ではないピーテル・デ・ホーホの作品はなかったです。
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山本大貴 「Aeolion Harp」と「離岸の唄」

 前回、前々回は最新鋭の美人画でしたが、今回はフェルメール作品を連想する伝統的な美人画を2つ紹介します。

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 これらのドレスは山本大貴がモデルに着せるため特別に仕立てたものです。会場に展示されていました。

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 「Aeolion Harp」です。モデルは左端のドレスを着用しています。
 エオリアン・ハープをググってみたら、フレデリック・ショパンの「練習曲 変イ長調 作品25-1」の動画がヒットしました。この作品は
ショパンの名曲のような優雅な余韻が閉じ込めらています。 

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 テーブルの上にあるレトロな機器があるので明治大正の女学生が身支度している風景だと思います。
袴は卒業式の服装であること、そろそろ卒業式のシーズンということから、また離岸は旅立ちを連想するので、卒業式に行く女子大生を描いたと単純に思いました。

 名作は作品に取り込まれるような錯覚と迫力がありますが、時に疲れます。
 しかし、この両作品は取り込まれることなく、美しいものをずっと見ていられる心地よさがあります。その秘密は作品世界と鑑賞者との間の距離感にあるのかもしれません。この展覧会は間もなく閉幕しますが是非是非ご鑑賞ください。

登戸神社 千葉県千葉市

 今回紹介する登戸神社(とわたりじんじゃ)は千葉県立美術館から京成線の新千葉駅方面に向かって15分の場所にあります。

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 参道は上り坂に面していますが、昔は海岸沿いの高台にありました。

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 参道は冬でも青々としていました。この日は午前中は曇りだったのが残念です。

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 境内社です。この神社は葛飾北斎が『冨嶽三十六景』の『登戸浦』を描いた場所とされています。

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 千葉氏の家紋「九曜紋」の提灯が掲げられています。
 登渡神社の前身は定胤寺というお寺です。1614年に千葉家の子孫登戸権介定胤が祖先の霊を供養するために千葉妙見寺(現在の千葉神社)の末寺として建立。明治時代の神仏分離令の際に登渡神社と称しました。

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 大師堂です。この神社がかつてはお寺だった名残です。大日如来や青面金剛の花立にある花が新しいので今なお地域の方々に愛されているようです。

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 御神水です。飲料可能です。

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 この神社は。千葉市指定文化財である彫刻で有名です。江戸湾に打ち寄せる波のような木鼻と獅子が印象的でした
 この神社はかつて海に面しており、『冨嶽三十六景』に描かれたことから景勝地だったと思われますが、埋め立てが進み今は日本を代表する工業地帯です。千葉市は千葉氏が切り開いた土地です。千葉氏による開発は完成したようですね。

2.5 DIMENSIONAL GIRL (feat.あまつ様×BLUE EGG)

 前回、有名なコスプレイヤーをモデルにした作品を紹介したので、今回もコスプレイヤーを描いた作品を紹介します。
 「2.5 DIMENSIONAL GIRL (feat.あまつ様×BLUE EGG)」です.

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 今回の展覧会で最も推したい作品はこちらです。理由は最先端の美人画を描き、他の画家へのリスペクトを忘れないという山本大貴の魅力が十二分に伝わるからです。
 
 作品タイトルは直訳すると2.5次元少女となります。
 アニメなどのキャラクターである2次元アイドルと、実際の人物の3次元アイドルの中間として存在するアイドルを「2.5次元アイドル」といい、アイドル声優とかコスプレイヤーを指します。モデルである「あまつ様(あまつりな)」は人気が高い2.5次元アイドルです。
 撮影が下手で恐縮ですが、作品下部に描かれているのマカロン、茶器も水色です。実際にあるメイドカフェで描かれた「萌え」に満ちた作品です。美人画はその時代の女性美を描いたものですが、可愛いくて「萌え」な女性を描いた街中でよく目にする現在においてこの作品は最高峰の美人画と言えます。

 後ろの描かれている絵画は日本画家の池永康晟の作品です。
 この作品は山本大貴と池永康晟が同じモデルで画力対決する企画で描かれたものです。画像検索で見ましたが、池永康晟はなまめかしくもちょっぴり切ない感じの美人画を描いていました。池永康晟の展覧会は一度は行きたいのですが未だ果たせずです。
 ちなみに池永康晟はAKB48をモデルにした作品があります。

 さて、日本の現在美術のキーワードでもある「萌え」ですが、この作品ではこれがキーワードの作品が他にあるのでよろしければどうぞ!!

初音ミク・クロニクル」展
龍口経太の「
村上隆の「Ko2ちゃん(プロジェクトKo2)
龍口経太の「操り人形

・・・とはいえやっぱり例えばフェルメールのような作品が一番という方もいると思います。次回はフェルメールが現在に蘇ったような作品を紹介します。

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